あけましておめでとうございます(2024)
2023年も皆様に支えられながら、教室運営を続けて参りました。2024年も引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。
先日一部の生徒との話題に上がったのですが、「2024」という数を素因数分解してみると案外面白い結果となったので、この場で紹介させていただきます。
まず、2・4・8の倍数についての判別法について。これらの数は全て2の累乗の形で表せます。
2=2¹、4=2²、8=2³といった具合ですね。さらにそれぞれに5¹、5²、5³をかけてあげると10、100(=10²)、1000(=10³)となります。
このことから、2の倍数を判断するときに最後の1桁だけを確認すればいいように、4の倍数は最後の2桁、8の倍数は最後の3桁を確認すれば良いことがわかります。(詳しい説明は中1の数学の範囲ですので、中学生以上の皆さんは少し考えてみてください。)
さて、2024という数の最後の3桁を見てみると、「024」つまりは24。これは8の倍数ですね。すなわち2024という数も8の倍数であることがわかります。
そこで2024÷8を計算してみると答えは253。253の素因数分解は一見少し難しいように見えますが、「3桁の数で百の位の数と一の位の数の和が十の位の数になるとき、もとの数は11の倍数である。」ということ(この説明は少し難しいですが、頑張れば中1の範囲でできます。)を利用すれば、253が11の倍数、つまり253=11×23であることはすぐにわかります。そして11も23も素数ですので、2024の素因数分解の結果は「2³×11×23」であると求められます。
実は2024の素因数分解には裏技的な方法も使えます。それは「45²=2025」であることを利用するという技です。
2024=2025-1=45²-1²=(45+1)×(45-1)=46×44
というものです。(a²-b²=(a+b)(a-b) という因数分解の公式を利用しています。中3の皆さんは入試にも頻出なのでしっかり使えるようにしましょう。)
そして46=2×23、44=2²×11であることは容易にわかりますので、2024=2³×11×23とすぐにわかるのです。
これらのことからもわかるように、「知識」や「思考」というものは作業を簡単にしてくれる性質を持ちます。決して単調な作業を見下すわけではありませんが、勉強をすることでコスパ・タイパよく結果を出すことができるようになることがわかるかと思います。
さて、今年も教室では次のような案内文を掲載しております。
今年もあいさつ文に「画竜点睛」という、十二支にちなんだ四字熟語を使っております。この言葉は有名ですので、知っている方も多いでしょう。
「画竜点睛を欠く」という形で使われることの多い言葉ですが、「画竜点睛」とは、張僧繇という画家が寺院に装飾として龍の絵を描いた際に「絵から抜け出て飛んで行ってしまう」と目を描かずにいたところ、それを信用しなかった周囲の人間が目を描かせたところ本当に飛んで行ってしまった、という故事に由来する言葉で、「物事における重要な部分」という意味があります。
故事の通り、物事の仕上げは特に大切です。この時期は受験生の皆さんはラストスパートをかけていることと思いますが、間違っても画竜点睛を欠くことの無いようにしましょうね。
龍と言えば、2022年の新年の挨拶にも書いたように、虎と対となることの多い動物でもあります。陽龍・陰虎のように陰陽と関連させた対応もあるようです。
龍に陽のイメージがあったのは少し意外ではないでしょうか?
そもそも西洋では「ドラゴン」と言えば邪悪の象徴です。七つの大罪というキリスト教世界における人を罪へと誘う可能性のある感情や欲望の中でもドラゴンといえば「憤怒」の罪に対応する動物です。
ドイツの叙事詩『ニーベルンゲンの歌』でもドラゴンを倒した際に返り血を浴びて不死身となった英雄ジークフリートが登場します。
北欧神話でも英雄シグルズに倒される、ドラゴンとなったシグルズの兄ファフニールが登場します。
旧約聖書の『ヨハネの黙示録』でも邪悪の象徴として赤い竜が登場します。
西洋だけでなく日本でもやはり龍(大蛇)は討伐されるべき存在として登場します。
日本神話でスサノオが天羽々斬でヤマタノオロチを討伐して、天叢雲剣をドロップアイテムとして得ていますよね。
では中国における「龍」はどのようなイメージなのでしょうか。
中国では「九似」といって龍のパーツが9種類の動物に似ているとされています。その内訳は「角は鹿、頭は駱駝、目は兎、項は蛇、腹は蜃、鱗は魚、爪は鷹、掌は虎、耳は牛」だそうです。(「蜃」とは蜃気楼を吐くとされる想像上の動物です。また、目に関しては「鬼」とされる場合もあるそう。)
そんなあらゆる動物の良いとこどりをした龍はまさに動物界のトップ。さらには自在に空を飛び回り天候を意のままに操る様から自由の象徴となったようです。
その様から、龍は中国皇帝の象徴として使われ、まさに縁起物として重宝されたのです。
そんな縁起物の龍に関連して、「鯉の滝登り」という故事があります。「急流の滝を登りきった鯉は門をくぐって竜になる」というもの。そこから、出世のための関門を超えることを「登竜門」と呼びます。また、子供が健やかに成長するようにという願いをかけて、滝を登る鯉見立てたのぼりのことを「鯉幟(こいのぼり)」と言いますね。(ちなみに、こいのぼりの数えかたは、1旒(りゅう)、2旒……と数えるそうです。これは旗やのぼり全般に用いる数えかたです。)
そんな華やかなイメージのある中国の龍ですが、恐ろしい側面もあります。
喉に1枚だけ逆向きの鱗があり、そこに触れると普段は温厚な龍でも烈火の如く怒り狂うのです。ここから「目上の人物の怒りを買うことを「逆鱗に触れる」と言うようになったのです。
日本でも龍が権力の象徴として使われる場面があります。
わかりやすいところで言うと、天皇陛下のレガリアの1つ天叢雲剣は、前述のようにドラゴンを倒した時のドロップアイテムでしたね。
「令和」に改元した際の即位の儀で、「天叢雲剣が使われた際に雨が降ったこと」が一部で話題になったのを覚えている人もいるかも知れません。
日本では龍と言えば水の神であり、天叢雲剣はその名の通り「天に叢雲(群雲)を発生させる剣」なのです。
水神の話をこれ以上掘り下げると、来年(巳年)の話題が無くなってしまうのでこのくらいにしておきますが、似ているようで少し違う海神のお話を少々。
日本では海の神がいる場所を「竜宮」と呼んでいます。最も有名なものは『浦島太郎伝説』の「竜宮城」では無いでしょうか。
実は、浦島太郎伝説の元になった「浦嶋子」という人物が実在します。
詳しく話すと長くなってしまうので簡潔に書きますが、どうやら私の姓「木築」のルーツを探っていくとこの「浦嶋子」に辿り着くみたいです。「浦嶋子」は「日下部氏」の先祖とされていて、「日下部氏」の始祖の「日下部表米」が(おそらく)我が家のルーツなのです。(表米が航行中に船に穴が空いて沈みそうになったところを鮑が貼り付いて助かったことから、子孫に「鮑食べるべからず」と伝えた逸話があり、木築家にその家訓が残っていること。表米の子孫の一部と木築家は家紋が一致すること。などから類推。)
また、日下部表米は彦坐王を出自とするのですが、この彦坐王は出雲族と呼ばれる龍神信仰の一族に属していたようです。
出雲と言えば「出雲大社」が有名ですが、実は明治時代に改称するまでは「杵築大社(きづきのおおやしろ)」と呼ばれていました。(ちなみに出雲大社の御神体は誰も見ることができませんが、大きな鮑だという説があります。)
由来のよくわかっていない「木築」という姓なのですが、もしかするとこの辺りに自分のルーツがあるのかも知れないと考えると、少しワクワクしますね。
龍のイラストを見ていると、手に水晶玉のようなものを持っているものを見かけるかと思います。これは「如意宝珠」と言い、仏教発祥の宝物です。
橋の欄干に「擬宝珠(ぎぼし)」と呼ばれる飾りを見たことがありませんか?これはその龍の持つ宝珠をモチーフにしているのです。 ドラゴンの持つボールということで、勘の鋭い方もいるかも知れませんが、如意宝珠には「願いを叶える力」があると言われています(7つ集める必要は無い)。龍はこの宝珠を持つことで超常的な力を発揮できるのですが、宝珠を持ち続ける限り煩悩を捨てられず悟ることができないとのこと。
どんなことでも、最後は自分の力で乗り切るしかないということですね。
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